水晶の夜(仮)その17.52018/09/02

水晶の描写を模索する。コンビニのコピー機で原画のコピーを出して試し描く。なんて便利なものだ。
水晶というのは酸素と珪素が結合して二酸化珪素となったものから出来ている。ギリシャ語のクリスタルスは氷を意味し、クリスタルの由来となる。氷がさらに凍結してもはや溶けなくなったもの、と信じられていた。その透明度、その硬さ、均一されたものはただそれだけで美しく、この世界の真実がそこに隠されているように思う。

線を引いていると、一線の始まりと終わりを揃えるのが難しい。難しいなどと言うものではない。無理だ。しかもペン先を着ける瞬間と離す瞬間にどうしてもダマができる。この問題を解決するためにマスキングテープを使用する。技法のひとつをここに解放する。
線は交わってはならない。交差もしない。透明な素材感を引き出すにはハッチングは不向きである。そして、心踊る線の筆跡こそ、ペン画の醍醐味ではないのか。

雲は去り
散りばめられた星が最後の力を振り絞り
その一幕を物語る
終わりのカシオペア

水晶の夜(仮)その172018/08/27

さて、水晶をどのように描くか。
空の描写はどうするか。
ようやくこの絵の本題に入る。
長かったな、、、

しばらく模索せねばならない。

水晶の夜(仮)その162018/08/22

線は闇、逆算して光を描く事。これがこの絵の根源である。もっと効率的な描き方があるのだろう。一度描いてみなければコツは掴めないから、やはりこの絵は習作でしかない。
街並みはあと少しで終わる。
そうしてようやくあの水晶が待っている。目眩のするような断崖絶壁を見上げるような、無謀な挑戦を続けるのか

///

「水晶の舟/黒い幻」

黒いお前の瞳 紅い遠い月を見つめている
黒い長い お前の髪の毛を
俺の真っ赤な火で 燃やしてやる

紅く熟れた お前のその唇
俺はその紅い唇を お前の紅い唇を
噛み切ってやる

真っ赤なその瞳に 黄昏た夕陽が落ちてゆく
黒いお前のドレス その闇の深く
お前の白いその体に 俺は我が身を任せる
そしてそのナイフで お前の肌を
傷つけてやる

お前の黒い闇に 影に
落ちたい 沈みたい 染まりたい

水晶の夜(仮)その152018/08/21

もう殆ど手探り状態である。果たしてこれで良いのかといつも迷いながら描いているけど、きっと何かが待ち侘びている。こころざしを高く持てば、未来は変わると信じている。

水晶の夜(仮)その142018/08/11

街並みの続きを描く。あと少しなのに、ここから急に険し過ぎる。勝てないのか。もとより勝ち目などない。この絵の完成図を見てみたいものである。自分以外にそれは描けないので、描くしかあるまい。

水晶の夜(仮)その132018/08/07

乱反射する光の中に、閉じ込められて抜け出せない。
もう誰の記憶にも残ってはいない。あの頃の自分は、いつまでもその中に居るなら、助ける事が出来なくても、せめてそれを画けたなら。

水晶の夜(仮)その12.52018/08/04

誰にも束縛されず、思いのままに、好きなだけ、納得の行くまで悩み、自然に任せる。水晶の形成は心の揺らぎに基づく。強い想いは身を滅ぼす。辿り着けないからこそ恋い焦がれてやまないのか。純粋な心の一瞬を写しとれたら、どんなに素敵だろう。どこかが違う。それが何なのか分からない。

なんだろう。「未知との遭遇」のオヤジがデビルズタワーの模型を作ろうとして悪戦苦闘してるアレを思い出す。とってもあんな感じである。

水晶の夜(仮)その122018/07/31

街よ、その赤い目を無限に光らせ、夜を支配せしめるならば、哀しみの限りを尽し、我の幻想にこれと対峙す。永久凍土の結晶に、凍てつき眠れ。

水晶の夜(仮)その112018/07/27

どこかにあるはず。完成された結晶の山がどこかにきっとそびえている。闇の中で鈍い輝きを放ちながら、鋭く研ぎ澄まされた高純度の結晶の連なる峰々のように。まるで秘密の中に託しているのか、どうしてもそこに辿り着けない。
たぶん、これが最後の恋

水晶の夜(仮)その102018/07/23

街並みが徐々に明確になる。なるに連れて、不確かな部分はより一層の不確かさを持って主張する。そろそろ上の構図をはっきりせねばならぬ。要するにここが不明確だと全体が見えてこないわけで、街の描写に曖昧さが付きまとうわけだ。
遠方のビル群の描写において重要なポイント、絶対に垂直な線であらねばならぬ。

///

見詰めていると、ビル群が墓石に見えてくる。あれらは巨大な墓所なのかもしれぬ。。。
「死都(ネクロポリス)」という画集を昔買った。これは私の絵心に多大な影響を与えた画集なのだけれども、ネクロポリスとはギリシャ語でのネクロ=死者と、ポリス=都市の合成語であり、死都というのは死滅した都市ではなく、むしろ死者たちの場所という意味だと書いてある。この絵はあの画集の中に入ってもおかしくないと自賛したい。考えてみればこの絵は「死の島」の構図にそっくりではないか?ふむん。

決してハッピーな絵ではない。限りなく哀しい絵である。権力だとか、欲望だとか、死だとか、己に宿る魔獣を表現しているのだと、描いていくうちに気付いてく。

「けれども、私たちが最終的に画きたいものは、美しいもの。」

いずれにせよ、最終的には、、、山に登るのは、その頂でしか見ることの出来ない景色があるからだろう。勝ち目がないからこそ、美しいのだろう。人の中にある、辿り着けない神聖な領域を。